MLC通信-院長便り

第1回 2015.12.2

腸内フローラとエクオールのお話
~食生活の工夫で女性ホルモンを活性化しましょう~

はじめに

女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、月経周期のリズムを作っています。また、卵巣のアンチエイジングのほか、血管をしなやかに保つ、骨粗しょう症を防ぐ、肌の若さを保つなど、さまざまな働きがあります。

これまで日本女性は欧米女性に比べると、乳がん・子宮体がんの発症率が低いとされてきました。産後の母乳分泌量が多く、更年期症状が軽いともいわれてきました。

その訳は、大豆製品をよく食べる食生活と腸内フローラを整える伝統的な和食にあるともいわれています。

大豆製品に含まれる大豆イソフラボンは、腸内細菌の力を借りて女性ホルモンに似た働きをするエクオールに変換されます。和食に多用される食物繊維を多く含む海藻類や、味噌や醤油、漬物などの発酵食品には、腸内フローラのバランスを整える作用があります。

しかし、最近はエクオールを作る力をもつ女性の比率が低くなっています。ある調査では、若い世代ではエクオールを作れる人は20~30%にすぎません。背景には、食生活の欧米化と腸内フローラの乱れがあるようです。

腸内フローラと健康の関係

腸内フローラとは

腸は大きく小腸と大腸に分かれていて、栄養や水分を吸収するという大切な働きをしています。また、体内に侵入した細菌やウイルスを排除して感染から守るとともに、病気を予防する免疫機能をもっています。このような腸の働きを担うのが腸内細菌です。

私たちの腸の中には約300種類、120兆個ぐらいの腸内細菌がすみついています。この腸内細菌の群れを花畑にたとえて「腸内フローラ(腸内細菌叢/そう)」と呼んでいます

健康維持には腸内フローラのバランスが関係します

腸内細菌には、健康維持やエイジング防止など、体によい働きをする善玉菌、逆に体に悪い働きをする悪玉菌、両者の中間に位置する日和見(ひよりみ)菌があります。代表的な善玉菌は乳酸菌やビフィズス菌、悪玉菌の代表はウェルシュ菌です。

善玉菌が増えるのはいいのですが、善玉菌が減って悪玉菌が増えるのは困ります。日和見菌は名前の通り、周囲の様子を伺います。腸内環境が整っている時は静かにしていますが、体が弱ったり、腸内環境が悪化すると悪玉菌に変身することがあるのです。

腸内フローラのバランスが乱れると免疫機能が低下して、さまざまな病気の原因につながることがあり、私たちの健康の度合いには、腸内フローラのバランスが深く関係しているといえます。

バランスのよい腸内フローラは自然妊娠力を高めると期待できます

腸内フローラは、毎日の食事や疲労、ストレスなどによって変化します。腸内フローラが悪玉菌に偏ると、頑固な便秘やニキビ、吹き出物、肌荒れなどを起こして、女性の悩みの種になります。それだけではありません。腸内フローラのバランスが乱れると、血液の質が低下して、各器官や細胞に届く栄養や酸素の量が減少してしまいます。子宮や卵巣などの生殖器官の細胞のエイジングが進む心配も出てきます。

一方、毎日の生活のなかで、腸内フローラを善玉菌優位に整えていくと、自然妊娠力を高める可能性があるわけです!

腸内フローラとエクオール

エクオールとは

私たちの食生活になじみの深い大豆には、強い抗酸化力をもつイソフラボンが含まれています。大豆イソフラボン(主にダイゼイン)には女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きがあり、女性の健康維持やアンチエイジングに役立っています。最近、この働きを担う主役は「エクオール」という物質であることがわかってきました。

エクオールは腸内細菌の働きで作られます

エクオールという言葉は初めて聞いた…という方も、イソフラボンは知っているのではないでしょうか。植物に含まれる色素や苦み、辛味成分のことをフラボノイドといいます。フラボノイドには、細胞老化の原因になるサビ(酸化物質)に対抗する強い抗酸化力があります。イソフラボンはそのひとつ! イソフラボンは味噌や醤油、納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品に多く含まれており、大豆イソフラボンとも呼ばれています。

さて、ここからが大切です。大豆製品を食べただけではエクオールは作られません。重要なのは腸内細菌! 食品で摂取された大豆イソフラボンは、おなかの中でエクオール産生菌と出会うことで、エクオールとなります。

エクオール産生菌は主に大腸に住む菌で、善玉菌である乳酸菌のひとつ、ラクトコッカス20-92を含む約15種類が報告されています。腸内フローラのバランスがよく、善玉菌が多いと、エクオールを作る力も高くなります。

若い世代ではエクオール産生能が低くなっています

大豆製品をよく食べる日本人は、ほとんど食べない欧米人よりエクオール産生能(作る力)は高いのですが、それでも約50%です。また、若い世代では約20~30%の人しかエクオール産生能がなく、その割合は欧米の女性とほぼ同じです。

背景には、和食離れ、とくに豆類の摂取量が減っていることが関係しているといわれています。日々の献立に積極的に大豆製品を取り入れ、合わせて腸内フローラのバランスを整えることで、エクオール産生能が高まると期待できます。

食生活で善玉菌を増やすには

発酵食品を食べましょう

発酵食品とはさまざまな微生物(善玉菌)の力を借りて、もとの食材成分が変化した食品のこと。伝統的な和食、たとえば味噌汁や魚の粕漬け、ぬか漬けや奈良漬けなどの漬け物にはいろいろな善玉菌が豊富に含まれています。とくに、味噌や納豆などには大豆イソフラボンが含まれているので一石二鳥です。

食物繊維を多く含む食品を食べましょう

食物繊維は腸内フローラのバランスを整えるために欠かせません。食物繊維は悪玉菌の材料になる腸内腐敗物質を体外に排泄する働きのほか、便通を整えて便秘を防ぐ働きも果たしています。

食物繊維は豆や野菜、果物、きのこなどの植物性食品、とくに海苔やひじき、わかめ、昆布などの海藻類に多く含まれます。野菜は生で食べるよりも火を通したほうが多くとれますから、調理法も工夫しましょう。

サプリメントを活用する方法もあります

仕事が忙しいなどで食生活を工夫するのが難しい方は、腸内細菌の代表的な善玉菌-乳酸菌やビフィズス菌のサプリメントを活用してもいいでしょう。せっかく摂取しても胃酸の影響で胃の中で消えてしまっては困ります。確実に腸に届く製品を選びましょう。

さいごに

私は腸内フローラのアンバランスこそ、万病の元と考えています。万病の中にはお子さんができにくい不妊症も含まれます。ぜひ食生活を見直し、腸内フローラを整え、女性ホルモンを作る力を活性化させていただきたいものです。

あなたはエクオールを作る力がありますか?

ご自分にエクオール産生能があるかどうかを知るには、尿中エクオール検査-ソイチェックを受けるといいでしょう。検査の結果、尿中にエクオールが含まれていれば、エクオールを作る力があるとわかります。産婦人科等の病医院で調べてもらう場合はこの検査を扱っているかどうかを確認しましょう。なお、当院ではご希望の患者様に実施しております。

あなたの腸内環境は整っていますか?

最近は、腸内細菌を遺伝子レベルで調べる方法が登場し、腸内環境が整っているかどうかを知ることができます。当院では、ご自分の腸内環境を知りたい方に、腸内環境検査-フローラチェックをご紹介しています。ごく少量の便を採取し、検査機関に送るだけの簡単な方法です。検査結果は善玉菌、悪玉菌、日和見の比率が表グラフに表示され、初めての方も一目でご自分の腸内環境を理解できます。

⇒詳細は「自然妊娠力UP講座」へ

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